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'06 6月号 (第三号)

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月刊がおりん! 第三号
2006.June
Japan Parliamentary Debate Union ======================================================================


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■特集: 経験者は語る…All-Asianブレイクの秘訣
▽井草 学

■突撃! 隣の練習法
▽成蹊大学の場合

■役に立つかもしれないブック・レビュー

■行事予定

■編集後記
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■経験者は語る…All-Asianブレイクの秘訣
先月行われたAll-Asians Intervarsity Debating Championshipにおいて、史
上初めて日本人チームが本選を突破し、準決勝に進出した。ICU−Aチーム
である。今号ではチームの一人である井草学君に来年度All-Asianに出場する
皆様にむけてのアドバイスを寄稿していただいた。



月刊がおりん!をご覧の皆様、こんにちは。ICUの3年の井草学です。この
度ICUAとしてCIMB All-Asians Intervarsity Debating Championshipに参
加しまして、何かの縁あって本選ブレイク、準決勝進出することができました。

本題に入る前に言っておきたいことがあります。

今回僕達ICUAが日本人で初めてのメインカテゴリーによる本選ブレイクし、
3位という結果を残すことができたのは、まだ日本人が国際大会にでることが
稀なころから、日本人ディベーターの国際大会においての地位向上、また世界
基準のディベートをはやくから日本に導入してこようとされてきた方々の並々
ならぬ努力があったからこそであり、その方々の努力がなければ、今回の僕達
のブレイクなど夢のまた夢であり、またこれからも叶わぬ夢であったに違いな
いでしょう。この場をかりてお礼を申し上げたいと思います。

今回、アジア大会で感じたこと、僕なりの勝つ秘訣、というか気をつけたほう
がいいと思ったことを書いていこうと思います。初めに断っておきますが、以
下僕が書くことは、全て僕の体験からくるものであり、多分にバイアスがかか
っている可能性があります。もしここは間違っているというところがある場合、
ご指摘していただければ幸いです。

以下主な内容です。
1. Definition challenge
2. Team line
3. Flexibility

1. Definition challenge
日本でDefinition challengeと聞くと何となく敬遠されがちな印象をもたれる
方が多いかと思います。それはおそらく日本ではDefinition challengeはやら
ない方が勝ちやすいと教えられているからだと思います。僕自身、やるなと教
えられてきましたし、どんなにGov. のDefinitionが不当なものであったとし
てもDefinition challengeをしたことはいままでありません。なぜしてはいけ
ないと教えられているかというと、Definition challengeがスピーカーズポイ
ントを下げる原因になったり、逆に負けになったりするからであろうかと思い
ます。

しかしDefinition challengeをしたからといって機械的にスピーカーズポイン
トを下げるものがありません。きちんとDefinition challengeとしてのプロセ
スを踏み、自分達の正当性を証明していけば、高評価を得られると思いますし、
得られるべきであると思います。ただ普段Definition challengeの練習をして
ないため付け焼刃でやって負けてしまうことになるのだと思います。

以前、Definition challengeはジャッジが退屈してスピーカーズポイントが下
がるからやめておいた方がいいと聞きましたが、もしそのようなジャッジング
が本当にあるとしたら到底受け入れることはできません。それはジャッジのバ
イアスだからです。

様々な事情により、日本ではもしGov.がおかしいDefinitionをした場合、Opp.
はまずGov.のDefinitionがおかしいと一応の批判をし、結局はDefinitionを受
け入れ相手の土俵に乗り普通にDebateをするのが定石です(おそらくそれでほ
とんど勝てるはず)。しかし、Asianでは相手を批判することはほとんど意味を
なしません。なぜなら、challengeをしない時点で、相手のDefinitionを受け入
れたとみなされ、相手のDefinitionの上でディベートが始まるからです。ジャ
ッジからすれば、「OppはGovの不当なDefinition を水に流して、問題としな
いのね。」ということになります。

結論としてAsianではGov.のバカなDefinitionに対して
1. Definition challengeをする
2. Definition challengeをしない
という二択です。相手を批判しつつ、受け入れてディベートをすると、多少、
ジャッジからは少ない時間で頑張ったねと思われますが、結局君たち何がした
いのって思われがちです。何が言いたいのかと言うとDefinition challengeも
バカなGov.に対するOppの立派なstrategyなのですよということです。


2. Team line
Asianでよく言われるのがTeam lineの重要性、つまりTeamとして何を証明し、
何が言いたいのかということです。Consistencyとも言われるかと思います。
日本ではPMかLOの時点でさらっとTeam lineを言い、MG・MOでももう一度同じ
言葉を繰り返すというのがよく見られますが、その多くが表面的な部分で終わ
ってしまっています。

Team lineをチームで共有するということは、ただ単にPMとMGがイントロでや
っつけ的に言うのではなく、終止一貫自分たちのTeam lineを基にして、ディ
ベートにengageしていくことです。例えば、Oppに立ったとき自分たちは現状
維持が一番いいという主張をしたとします。しかし、相手が言ったことへのレ
スポンスとして例えばこんな方法があるじゃんというalternative wayをみせ
たりするのはよくありません。なぜなら自分たちが主張したいこととはいかに
現状維持が素晴らしいかであり、alternativeでrefuteするということは現状
維持よりもalternativeの方がいいということであり、自分たちのTeam lineか
らはずれてしましまいます。つまりは、最初にやっつけでいうのではなく、
Team lineをrefuteやpointによく織り交ぜて、チームとしての一貫性を保つよ
うにしてくださいということです。

3. Flexibility
これはAsianに限ったことではありませんが、Asianでも重要かと思われます。
今回僕たちはOppを計四回したのですが、毎回自分たちが考えていたものとは
違うDefinitionがGov.から提示されました。結構大変ですよね。こういう場合、
いままでのプレパはすべて無駄になり、7分で相手のスピーチを聞きながら一
から自分たちのスタンス、ポイントを考えなければなりません。

特に国際大会では、文化や話題となっているニュース、考え方もちがうので、
相手のDefinitionに驚くことが多いのです。そんなときこそ思い切りとチーム
ワークが重要です。とにかく自分たちのポイントが合わないものだったら即座
にすてる勇気をもちましょう。つぎにチーム内での役割分担をしましょう。特
にLOは自分のポイントを考えるのに時間がかかるので、MGとWhipが相手の話を
きくという具合に。基本ですがAsianではチームワークの良さが勝敗の行方を
左右します。びっくりDefinitionへの対策としては、練習で相手チームだけに
Motionを知らせ、20分間プレパしてもらい、自分たちはMotionを知らないま
まラウンドし、PMスピーチのDefinitionでMotionがわかり、そこからラウンド
内で自分たちのスタンス、ポイントを作り上げる練習をするのがいいかと思い
ます。

4. 最後に
国際大会なんか・・・と思っている皆さんへ。
なぜ皆さんは英語でディベートをしているのでしょうか? 単にディベートし
たいのなら、日本語でもディベートできます。「英語を身につけたい!」なら
駅前留学で事足ります。英語でディベートをしているということの可能性に目
を向けてみてください。英語を使えば、世界中の学生とディベートをすること
ができ、多様な価値観にふれることができます。そこにはお金では決して買え
ない出会いがあります。日本を飛び出し、世界に目を向けてみてください。国
際大会に参加することは必ずあなたの視野を広げ、自分の器を大きくさせるこ
とができるでしょう。

僕達ICUAチームは帰国子女のチームではありません。別にそこまで特別な
知識があるわけでもありません。ただメンバーの全員がディベートが好きで、
一年生の頃からどうにかして上手くなりたいと努力だけはしてきたつもりです。
大切なのは、あきらめないことです。Debateを続けるということは意外と大変
です。試合でぼろ負けしても、如何に自分をあきらめず、努力できるかだと思
います。純国産の僕達がブレイクできたのですから、皆さん全員ブレイクでき
る可能性をもっています。

5. 本当に最後に
ICUの伝説的なOBの並木ひろむさんが、引用した言葉を引用して終わりにします。

棋士(将棋指し)の羽生善治さんの「決断力」という本から。羽生さんは名人
など主要7タイトルを独占したこともある伝説の棋士です。

 才能とは何か。

 以前、私は、才能は一瞬のきらめきだと思っていた。
 しかし今は、長い年月を同じ姿勢で、同じ情熱を傾けられることが才能だと
 思っている。

 目に見えて進歩はしていないが、少しでも前に進む意欲を持ち続けている人
 は、たとえ人より時間がかかっても、いい成績を残している。

 直感でどういう手が浮かぶとか、確かに個人の能力に差はある。しかし、そ
 ういうことより、継続できる情熱を持てる人のほうが、長い目で見ると伸び
 るのだ。

頑張りましょう。

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■突撃! 隣の練習法
微妙に一番人気がある(らしい)企画、今回は努力と根性の大学(と勝手に私
は思っている)成蹊大学です。前年度チーフの水野友資さんに寄稿していただ
きました。

△成蹊大学の場合
成蹊大学の場合、「数多く練習するのは当たり前。その中で各人、もしくは部
活動でいかに効果的な練習を積み重ねるかが肝である」という風土を先輩から
受け継いでまいりました。

そんな風土を生かした練習として、今回は英語力と同時にディベートスキルを
も鍛えられるような効率的かつ効果的な練習を記してみたいと思います。

1.「単語当て」
2.「単語強制関連づけ」

1.「単語当て」
説明したい単語を直接用いないで遠まわしに説明する練習です。例えば『りん
ご』なら、「果物で、赤くて、パイにも使われて…」という風に話します。単
語は各人がスピーチ直前にクジを引いて決めます。プレパ時間は0秒〜10秒
です。これによって、とっさに口から出てくる単語数の増加と文法運用の強化、
が見込めます。

2.「単語強制関連づけ」
クジで2つの単語を引いて、それを関連付けてスピーチする練習です。例えば、
『アフマディネジャド大統領』と『成蹊大学』を引いたとします。私なら「ど
ちらもトップダウンで活性化が行われているのでは? アフマディネジャド大
統領は強硬な核開発などで国威発揚を図り、成蹊大学は栗田学長の旗振りで学
長意見箱やカリキュラム編成で大学活性化を図る。よってここから得られる教
訓は〜〜〜」と言うかもしれません。プレパ時間は0秒〜10秒です。これで、
@即座に関連事項を抽出する頭の回転、
A柔軟な発想力、
B2つの事柄を上手く結論まで落とし込む話の展開力、が鍛えられるでしょう。

英語力向上が急務である成蹊大学なので(笑)、英語を鍛えるような練習が導
入されました。しかし単に英語を鍛えるなら1人で可能、だから部活でやるに
は時間も人数も勿体無い。そこで部活でやる際はディベートスキルも一緒に鍛
えられるようにアレンジしたら、上記の練習になりました。

上記の2つの練習は英語に不慣れな新入生にとっても行いやすいものです。新
歓で試してみてはいかがでしょうか?


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■役に立つかもしれないブック・レビュー
今月号より連載の当企画はディベートの役に立つかもしれない(し、たたない
かもしれない)本を好き勝手絶頂に選んで紹介しよう、というコーナー。大会
があった月はMotionのレビューを、なかった月はこっちを連載していく予定で
す。今月は生命倫理がらみの本を適当にセレクトしてみました。


『生命倫理とは何か』市野川 容孝=編 平凡社

「ターミナルケア」「出生前診断」といった22のトピックについてその周辺
の議論や歴史を交えながら解説している。ひとつひとつの分量が多くないため
サクサクと電車の中ででも読んでいけるナイスな入門書である。全体として高
度医療推進に対して慎重な立場をとっているのが特徴で、そこら辺を注意しな
がら読んでいくとよい。


『実践の倫理』ピーター・シンガー=著 山内 友三郎, 塚崎 智=監訳 昭和堂

著書『動物の解放』で動物に対する道徳について論争を巻き起こしたピーター・
シンガーによる一冊。生命倫理から動物への道徳論まで幅広くカヴァーされて
いる。功利主義の前提から出発し、安楽死や生命の価値、動物への配慮などの
各トピックに結論を下していく様は圧巻である。たとえば、種差別あるいは人
間中心主義を批判するくだりである。シンガーは人間間の平等の原理を人間・
動物間にも適用する。「あるグループに属してない、あるいは知的でないから
といって、そのものたちを搾取していいということにはならない」、と。それ
ぞれの結論に賛成するにしろ反対するにしろ、その見事な論理展開は見ておく
べきものがある。余談だが、確かこの人はモナシュ・ディベート・レビューで
安楽死に関するインタビューをうけていたはずである。


『異議あり! 生命・環境倫理学』岡本 裕一朗=著 ナカニシヤ出版

以上の二冊が少々「硬め」であったとするなら、この本は比較的「柔らかめ」
である。ただし、それは内容が劣っていたりするというわけではない。どちら
かといえば、本書の主張は過激に聞こえる。章の名前からイカしている―第四
章は「人間中心主義で悪いか」となっている―。そうはいっても、従来の生命
倫理学・環境倫理学の議論を整理しながら、結論を下し、あるいは問いを放つ
手つきは非常に繊細である。特に第四章、「人間中心主義」批判に対する批判
は見ものである―人間中心主義を批判する人間のほうこそが、人間中心主義に
陥っている―あるいはウルトラ人間中心主義ではないか―という主張の論理展
開は非常に説得力を持っている。動物の権利やエコロジー論など、どこか胡散
臭かった応用倫理学のイメージを覆す好著。


『奴婢訓』ジョナサン・スウィフト=著 深町 引三=訳 岩波書店 文庫

今回最後は、『ガリヴァ旅行記』で知られるスウィフトの一冊。この本は長ら
く品切れしていたのだが、この前復刊されたのを本屋で見つけると狂気して購
入したのである。タイトルとなっている「奴婢訓」も面白いのだが、「貧家の
子女がその両親並びに祖国にとって重荷となることを防止し、且社会にとって
有用ならしめんとする方法についての私案」という長い題名の一編が興味深い。
当時貧困にあえいでいたアイルランドでのブラックユーモアで、乱暴に言えば
「貧乏人の赤ん坊はソーセージにして売ってしまえば、両親も貧困に苦しむで
あろう赤ん坊も社会も幸せになる」というものである。ひどい提案に見えるか
もしれないが、本当にそうか。よくよく考えてみれば、「生命の尊厳」論と「生
命の質」論の対立、あるいは中絶論や安楽死論などに見られる「人を殺す/死
なせる」ことの条件付けに対する議論が思い浮かんでくる。もちろん、そうい
ったことを抜きにして純粋に楽しめるが、いろいろと深読みしてほしい一編で
ある。



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■行事予定

6/25; 成蹊ジョイント
成蹊大学が主催する新入生大会。新入生向け大会の中では一番規模が大きい。

7/2; 高館杯
東京都立大学が主催する新入生向けの大会。エリザベス杯同様上級生が新入生
と組んで参加するが、三試合の内二試合はモーションが事前発表されるのが特
徴。

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■編集後記
どーも丹羽です。この号でやっと三度目、というわけでわけもわからずほっと
しております。毎度毎度尻に火がついていて、「就職先に出版もいいなあ」と
か思っていたくせに「ああ、編集者はやめよう、こんなメルマガでさえいっぱ
いいっぱいなのに…」と現在では思いなおしています(笑)。そんなこんなな
メールマガジンですが、来月号もぜひともよろしくお願いします。がおー!

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ご意見、ご感想はgo_go_gaorin@infoseek.jpまで
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[月刊がおりん!]
編集人:丹羽 啓介




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